※この記事は、以前「気持ちいい施術が、体に良いとは限らない理由」として書いた内容を、現在の福粋の考え方に合わせて見直したものです。
整体の「気持ちいい」は身体に合っている?|強さだけで決めず、反応を見る
マッサージや整体を受けたあと、
「気持ちよかった」
「スッキリした」
「しっかり押してもらえて満足した」
と感じることがあります。

その「気持ちいい」という感覚を、否定する必要はないと思っています。
強めの刺激が好きな方もいます。
しっかり圧をかけてもらった方が、終わったあとにすっきりすると感じる方もいます。
私自身、強い刺激そのものを悪いものだとは考えていません。
ただ、長く施術の仕事をしてきて、今はこんなふうに考えるようになりました。
「強いか、弱いか」だけではなく、
その刺激を受けた身体が、そのあとどう反応しているのかを見る。
このページでは、私が以前マッサージ店などで働いていた頃の経験も交えながら、施術の「強さ」について今感じていることを書いてみます。
「もっと強く」と言われることが、本当に多くありました
私は以前、温泉施設の手もみ処や、リラクゼーション店で施術をしていた時期があります。
そこでは本当に何度も、
「もっと強くお願いします」
「もっと強くできますか?」
と言われました。
かなり強く押しているつもりでも、
「もう少し強く」
と言われることもあります。
もちろん、強い圧そのものが好きな方もいると思います。
「今日はとにかく強く押してもらいたい」という目的で来られているのであれば、それも一つの希望です。
ただ、当時のお客さんの多くは、強く押してもらうこと自体ではなく、
「肩を楽にしたい」
「腰を軽くしたい」
「疲れを取りたい」
「もう少し健康的な身体になりたい」
という思いで来られていたように感じます。
そこで私は、施術しながら少しずつ疑問を持つようになりました。
なぜ、もっと強くしてほしいのだろう?
今の圧では何も感じないのだろうか。
強くした時、身体は実際にはどう反応するだろう。
こちらが無理をしてまで、強くする必要はあるのだろうか。
強く押すと、その場では楽になることがあります
強く押した時、お客さんの表情が変わることがありました。
つらかった部分に強い刺激が入ると、
「そこです」
「効きますね」
と言われ、施術後には笑顔になったり、すっきりした顔になったりします。
施術する側としても、その反応を見ると、
「これで良かったのかな」
と思いやすくなります。
私自身、その場でつらさが少し引っ込むような感覚が起きることはあると感じていました。
ただ、同時に、
「今この瞬間に楽になったこと」と、「身体全体が良い方向へ進んでいること」は、必ずしも同じではないのではないか。
とも考えるようになりました。
その場で軽く感じたことを否定する必要はありません。
一時的な変化でも、本人にとっては大切なことがあります。
でも、その変化だけで施術の良し悪しを決めなくてもいいと思っています。
「もっと強く」が基準になっていくこともある
現場にいると、以前よりさらに強い刺激を求めているように感じる方と出会うこともありました。
もちろん、その理由を一つに決めることはできません。
もともと強い刺激が好きなのかもしれません。
身体の感じ方に個人差があるのかもしれません。
長く強い刺激を受けてきたことで、それくらいの強さが「いつもの刺激」になっているのかもしれません。
私には、そこまでは分かりません。
ただ、現場では、
「もっと強く」
「もっと強く」
と強さを追い続けているうちに、
「身体に合っているか」より、「強く感じるか」が基準になっているのではないか
と感じることがありました。
私はこの状態を見ながら、
「希望された強さに、施術者がただ合わせ続ければいいのだろうか」
と考えるようになりました。
お客さんの希望を聞くことと、言われた通りにすることは違う
「もっと強くしてほしい」
という希望も、その人の大切な感覚です。
ですから、無視する必要はありません。
でも、希望を聞くことと、そのまま言われた通りにすることは少し違うと思っています。
たとえば、
「今の強さでは物足りませんか?」
「もう少し強くすると、こちらはこういう刺激になります」
「このくらいの圧ではどう感じますか?」
と確認することもできます。
施術者側が身体の反応を見て、
「これ以上強くするより、今はこのくらいの方がよさそうだな」
と感じることもあります。
受ける方の希望を聞く。
施術者も自分の感じていることを持つ。
そして、その間で身体の反応を一緒に見る。
今は、その方が自然だと感じています。

施術者の身体にも、無理をさせない
強い圧を長時間続けることは、施術者側にも負担があります。
私自身、強く押し続けていると親指が痛くなることがありました。
肘を使っても、長く続けば疲れます。
当時、勤務先では「道具を使うと事故につながる可能性があるので使わないように」という案内がありました。
安全を考えること自体は大切です。
ただ私はその頃、
「では、施術者が身体を痛めながら強く押し続けるのはどうなのだろう?」
とも感じていました。
今考えると、施術の場には二つの身体があります。
受ける人の身体。
施術する人の身体。
どちらか一方が無理をし続けることを、良い施術とは呼びにくいと思っています。
強い刺激が合う人もいると思います
ここまで読むと、
「では、強い施術は良くないということですか?」
と思われるかもしれません。
私は、そうは考えていません。
強めの指圧を受けたあと、とてもすっきりする人もいます。
しっかりした圧の方が心地よく感じる人もいます。
弱い刺激なら必ず身体に良いというわけでもありません。
大切なのは、
強いか弱いかを先に正解にしないこと。
だと思っています。
同じ人でも、その日の身体によって受け取り方が変わることがあります。
昨日は心地よかった圧が、今日は少し強く感じることもあります。
だから、刺激の強さそのものより、
「今の身体は、この刺激をどう受け取っているのだろう?」
と見ることを大切にします。
福粋が弱い圧を選んでいる理由
福粋の施術は、かなり弱い刺激を使います。
これは、
「強い施術は間違っていて、弱い施術が正しい」
と考えているからではありません。
私自身が施術を続けてきた中で、強く変えようとするよりも、弱い刺激の中で身体の反応を見ていく方が、自分には自然だと感じるようになったからです。
今の福粋では、施術の中心に、
「この刺激のあと、身体が回復しやすい方向へ動いていくだろうか」
という視点を置いています。
ここでいう「回復力」は、何か一つの数値で測れるものとして使っているわけではありません。
呼吸。
力の入り方。
動いた時の感じ。
左右の違い。
受けている本人の感覚。
そうした反応を手がかりにしながら、
「今はこのくらいの刺激でどうだろう?」
と見ていきます。
「気持ちいい」も、大切な身体の声です
気持ちよさを軽く考える必要もありません。
「気持ちいい」
というのも、その人が感じた一つの反応です。
大切なのは、それを唯一の答えにしないことだと思います。
たとえば、施術を受けながら、
「気持ちいい」
と感じた。
そのあと、
「動きやすくなった」
「呼吸が少し楽だ」
「特に変わらない」
「少しだるい」
と感じることもあります。
どれか一つだけを見ずに、その人の中で起きたこと全体を見ていく。
その方が、身体について分かることが増えると思っています。
その場のスッキリ感だけで、決めなくていい
強く押されて、その場ですっきりする。
それ自体は悪いことではありません。
でも、そこで終わらず、少し時間が経ったあとの身体も見てみます。
施術直後はどうだっただろう?
その日の夜はどうだっただろう?
次の日はどうだっただろう?
いつもの動きをした時はどうだっただろう?
こうして少し広く見ると、
「気持ちよかった」
だけでは分からなかったことが見えてくることがあります。
逆に、施術中はあまり何も感じなかったのに、あとから
「そういえば少し楽だったな」
と気づく場合もあります。
身体の変化は、いつもその場で分かりやすく出るとは限りません。
「もっと強く」の奥にも、その人の感覚があります
今なら、「もっと強く」と言われた時にも、単に強さを上げるだけではなく、少し立ち止まってみたいと思います。
なぜ、もっと強くしてほしいのだろう。
そこまで強くないと、施術を受けた感じがしないのか。
その場所のつらさが、それほど強いのか。
以前から強い施術を受けてきたのか。
本人にも、すぐには分からないかもしれません。
施術者にも分からないかもしれません。
それでも、
「もっと強く」という言葉も、その人の今の身体を知る一つの手がかり
として見ることはできます。
最初から、
「強圧好きだから」
と片づけなくてもいいと思っています。
福粋では、弱い圧の中で身体を見ています

福粋では、強く押して変える施術ではなく、弱い刺激の中で身体の反応を確認していきます。
それがすべての人にとって唯一正しい方法だとは思っていません。
強い刺激の方が好きな方もいるでしょう。
別の施術が合う方もいると思います。
ただ私自身は、
強さを足していくよりも、刺激を小さくした時に身体が何を見せるのか。
そこに興味があります。
身体がどこで力を抜くのか。
どこで反応が変わるのか。
どこにはまだ変化が出ないのか。
そういう小さな反応を見ながら施術を組み立てています。
安心して整体を受けるために大切なこと
施術を受ける方が自分の感覚を話せて、施術者も答えを決めつけず、一緒に身体を確認していく。福粋が大切にしている施術の関係についてまとめています。
最後に|「強さ」より、その後の身体を見る
強い施術が好きでも大丈夫です。
弱い施術が好きでも大丈夫です。
その場で気持ちいいことも、大切な感覚です。
ただ、それだけで施術の良し悪しを決めなくてもいいと思っています。
少し時間を置いて、
「今の身体はどうだろう?」
と見てみる。
そして施術中にも、
「この強さはどうだろう?」
「もう少し弱い方が楽だろうか?」
「少し強くするとどう変わるだろう?」
と確認してみる。
強いか、弱いかではなく、
今の身体にとって、この刺激はどうなのだろう。
私は、そこから施術を考えたいと思っています。
福粋では、その中でも弱い圧を使いながら、身体がどのように反応するのかを静かに見ていきます。
「強いマッサージを受けてきたけれど、今の身体には何が合っているのだろう」
そんな段階でも大丈夫です。
まずは今の身体の反応から、一緒に見ていきます。
