※この記事は、一般的な情報と、整体院福粋で身体を見てきた経験、院長自身のクラシックバレエやストレッチの経験をもとに書いています。強い痛みやしびれ、力の入りにくさなどがある場合は、無理に身体を伸ばさず、必要に応じて医療機関へご相談ください。
毎日ストレッチしているのに身体が硬くなることもある|伸ばしすぎに注意したい理由
身体を柔らかくするために、毎日ストレッチを続けている方がいます。
前屈で床に手がつくようになりたい。
開脚できる範囲をもっと広げたい。
肩や背中を柔らかくして、きれいな姿勢になりたい。
そのような目標を持ち、少しずつ身体を伸ばしていくことがあります。
最初は以前より動かせる範囲が広がり、成果を感じることもあるでしょう。
ところが、続けているうちに、
「以前より筋肉が突っかかる」
「毎日伸ばしているのに、身体が硬く感じる」
「ストレッチの後に痛みや疲労が残る」
ということがあります。
そのような時、「まだストレッチが足りない」と考え、さらに強く伸ばしてしまう方もいるかもしれません。
しかし、身体が硬く感じる時に、必ずしも伸ばす量が足りないとは限りません。
ストレッチは、どこまで伸ばせたかだけを見るものではありません。伸ばした後に身体がどうなったかまで確認することが大切です。
毎日伸ばしているのに、前より硬く感じることがあります
ストレッチを始めたばかりの頃は、少しずつ前屈が深くなったり、開脚できる範囲が広がったりすることがあります。
その変化が嬉しくなり、毎日さらに深く伸ばそうとすることもあるでしょう。
ところが、筋肉が回復する前に同じ強さのストレッチを繰り返すと、次第に伸ばしにくさや突っかかりを感じることがあります。
見た目では以前より柔らかくなっていても、身体の内側では疲労が残っている場合があります。
その状態でさらに強く伸ばすと、身体は気持ちよく広がるというより、力を入れて耐えるようになります。
柔らかくしようとしているのに、かえって身体が守るように緊張していると感じることもあります。
ストレッチも身体にとっては一つの負荷です
ストレッチは、筋トレやスポーツよりも身体への負担が少ないように見えます。
反動をつけず、静かにゆっくり伸ばしていれば、安全だと思うかもしれません。
しかし、静的なストレッチであっても、筋肉やその周囲へ張力を加えています。
特に、次のような状態では負荷が積み重なりやすくなります。
- ● 限界に近い位置まで毎回伸ばす
- ● 長い時間、強い張りを感じたまま保つ
- ● 手や道具を使って、さらに深く引っ張る
- ● 筋肉痛や疲労が残っている時にも繰り返す
- ● 稽古や筋トレなど、ほかの運動量も増えている
- ● 睡眠や休息が十分に取れていない
グイグイ反動をつけていなくても、静かに限界を深め続ければ、現在の身体にとって強すぎる刺激になることがあります。
ゆっくり伸ばしているから、必ず負担が少ないとは限りません。
クラシックバレエで、柔らかさを求め続けていた頃
私は以前、クラシックバレエを習っていました。
当時の先生からは、外側の大きな筋肉ばかりを使うと脚が太くなるので、身体の内側を使うように教えられていました。
腕や脚の形を外側から作るのではなく、身体の内側から絞り出すように手足を伸ばす。
頭を上へ引き上げ、身体の中心から動きを作る。
そのような意識で、バレエの型を練習していました。
ストレッチでも同じように、身体の内側から筋肉を長く伸ばしていくような感覚を求めていました。
私はもともと身体が硬い方で、バレエを始めた頃は、前屈をしても指先が床につきませんでした。
そのため、もっと開脚できるようになりたい、もっと身体を柔らかくしたいと思い、毎日のようにストレッチをしていました。

「もっと伸ばして」と言われ、限界を深めていました
バレエ教室でストレッチをしていると、先生から、
「坂本さん、もっと伸ばして」
と言われることがありました。
私は反動をつけてグイグイ伸ばしていたわけではありません。
静かに、じわじわと筋肉を伸ばしていました。
ただ、先生に言われると、その位置からさらに足を手でつかみ、できるだけ深く伸ばそうとしていました。
見た目には静かなストレッチでも、身体の中では限界に近いところまで負荷を加えていたのだと思います。
稽古の翌日には、内ももや太ももの裏側が筋肉痛になっていました。
その時に、私は初めて、
「ストレッチでも筋肉痛になるんだ」
と思ったことを覚えています。
筋肉痛が治る頃に、また次の稽古が来ていました
ストレッチによる筋肉痛が少しずつ治ってくる頃に、また次のバレエ教室がありました。
週に二回ほどだった稽古が、発表会前には週三回以上へ増えていきました。
会社が休みの日にも、皆で発表会の振り付けを練習する時間が増えていました。
身体に入る負荷は、ストレッチだけではありません。
バレエの稽古、振り付けの練習、会社での疲労やストレスも重なっていました。
そのような時期から、内ももや太ももの裏を伸ばすと、筋肉が突っかかるような感覚が出るようになりました。
以前より開脚できる範囲は広がっていたと思います。
しかし、筋肉そのものは回復し切っていないように感じていました。
開脚は広がっても、身体が楽になっているとは限りません
ストレッチの成果は、前屈でどこまで手が届いたか、開脚が何度まで広がったかで判断されることがあります。
けれど、動かせる範囲が広がったことと、身体が楽に動けていることは、必ずしも同じではありません。
私の場合も、バレエを始めた頃より開脚できるようにはなっていました。

その一方で、稽古の頻度が増えるにつれて、筋肉の突っかかりや、伸ばした時の痛みが増えていました。
このまま同じストレッチを続けると、脚がさらにガチガチになってしまうような感覚もありました。
そのため、バレエ教室のない日は、ストレッチをしないようにしていた時期があります。
柔らかさの数字が伸びても、身体が疲労し、動きづらくなっているなら、現在の方法を見直す必要があります。
年齢や生活環境によって、身体の反応は変わります
子どもの頃からバレエを続けている方は、成長の過程で身体が動きへ順応し、柔軟性を身につけていくことがあります。
一方で、大人になってから始めた場合は、仕事や生活の疲れ、長年の身体の緊張なども抱えています。
同じ稽古量やストレッチを行っても、回復の速度や身体の反応は同じではありません。
先生や周囲の人ができているからといって、自分も同じ量を行えばよいとは限りません。
年齢だけで決まるものではありませんが、その時の体力、疲労、運動経験、生活環境まで含めて考える必要があります。
「もっと反りたい」と、背骨を強制してしまいました
発表会が終わり、稽古日数が落ち着いた頃、私はさらにバレエの形をきれいにしたいと思っていました。
特に、背中を後ろへ大きく反らせる動きを深めたいと考えていました。
最初は、ヨガでいうコブラのポーズのようなストレッチを行っていたり、弓のポーズのような形も行っていました。
ただ、当時の私は、背中が柔らかく反っているというより、背中の筋肉へ力を入れて、無理にその形を作っていたのだと思います。
それでも、もっと深く反りたいという気持ちがありました。
そこで、太い排水用のゴムホースを用意し、かかとへ引っ掛け、両手でホースを少しずつ手繰り寄せる方法を考えました。
ホースを引き寄せるほど、上半身が強制的に後ろへ反っていきます。
この方法は、身体を強制的に反らせる危険な方法です。
当時の私が自己流で行っていたものであり、決して真似をしないでください。
私は、
「もっと、もっと」
「背骨が折れるくらい反らせたい」
というほどの気持ちで、そのストレッチを続けていました。
身体から返ってくる感覚よりも、形を深くすることが目的になっていたのだと思います。
ある時、腰を動かすことができなくなりました
そのストレッチを続けていたある時、腰に急な痛みが出ました。
後ろへ反ることができないだけではありません。
前屈や前かがみになることも、腰が痛く、ゆっくりでなければ動けなくなりました。
何もせずにじっとしている時は、それほど痛くありません。
しかし、胴体や腰を動かそうとすると、強い痛みが出ました。
バレエの稽古でも、腰を使う動きができなくなり、ほとんど腕だけで練習するような状態になりました。
その頃、出張整体をしていた関口先生へ三回ほど施術をお願いしました。
ただ、腰の状態に大きな変化はありませんでした。
その後も、腰が動かしにくい状態で数週間を過ごしました。
はっきりとは覚えていませんが、日常の動きがほぼ元へ戻るまでには、二か月から三か月ほどかかったと思います。
当時の腰痛の原因は、今となっては分かりません
今振り返ると、強く反らせる動きを繰り返したことで、腰の骨や関節、筋肉などへ大きな負担がかかっていたのだと思います。
腰椎分離症のような状態だった可能性も、私の中では頭に浮かびます。
ただし、当時は整形外科などで検査を受けていません。
そのため、骨折していたのか、筋肉や関節を傷めていたのか、実際の原因は分かりません。
痛みが治った後、腰を少しひねった時に、腰椎付近でコクッと音がするようになったことがあります。
しかし、その音だけで骨が折れている、骨が遊離していると判断することはできません。
大切なのは、当時の私が身体の限界を越えるようなストレッチを行い、その後、長期間動かしにくくなるほどの痛みを経験したということです。
痛みが治っても、反ることへの怖さが残りました
腰の痛みがほぼ治った後も、以前のように背中を反らせることはできませんでした。
身体が硬くなっていたというだけでなく、
「また、あの痛みが出るのではないか」
という怖さがありました。
生活や稽古の中で腰痛が出ていなくても、限界まで反ろうとすると、痛みの記憶がよぎりました。
その怖さは、一年ほど残っていたかもしれません。
怖いので、日常でも反るストレッチをしなくなりました。
そのため、背中は以前より硬く感じられ、バレエそのものも少しずつ面白くなくなっていったと思います。
当時の私は、全力で身体を使い、限界へ向かうことに、バレエの面白さを感じていたのかもしれません。
それができなくなり、楽しさまで失われていきました。
身体の回復は、痛みが消えた時点だけでは終わらないことがあります。再び安心して動ける感覚が戻るまで、時間がかかることもあります。
身体が硬い時に、さらに伸ばせばよいとは限りません
筋肉が突っかかる。
以前より伸びづらい。
ストレッチ後に筋肉痛や疲労が残る。
そのような時には、「もっと伸ばさなければ」と考える前に、現在の負荷が強すぎないかを確認します。
たとえば、次のような調整ができます。
- ● 伸ばす強さを弱くする
- ● 保持する時間を短くする
- ● 毎日行わず、回復する日をつくる
- ● 稽古や筋トレが多い日は、ストレッチ量を減らす
- ● 痛みや突っかかりがある部分は無理に伸ばさない
- ● 呼吸できる範囲へ戻す
一度ストレッチを休むことも、身体を硬くする行為ではありません。
疲労した身体が回復し、再び動きやすくなるために必要な時間になることがあります。
見本の形へ身体を無理に合わせない考え方については、こちらの記事でも紹介しています。
正しいフォームが身体に合わないこともある|見本どおりに動けなくても大丈夫です
ストレスや疲労が強い日は、身体も伸びにくく感じます
当時は、会社でのストレスやプレッシャーが強い中で、バレエの稽古やストレッチを行っていました。
精神的な負担が大きい時は、同じストレッチでも身体が緊張し、伸びにくく感じることがあります。
睡眠不足、仕事の疲れ、発表会への緊張なども、身体の反応へ影響していたのかもしれません。
ストレッチだけを切り取って考えるのではなく、
今週はどのくらい運動したのか。
仕事や生活で疲れていないか。
十分に眠れているか。
身体や気持ちに余裕があるか。
そのような全体の状態を見る必要があります。
ストレッチ中の痛みを、成果にしない
柔らかくなりたい気持ちが強いと、痛みを我慢した先に成果があるように感じることがあります。
しかし、ストレッチ中の強い痛みや、翌日まで続く筋肉痛を、柔軟性が高まった証拠にする必要はありません。
ストレッチの成果は、次のような変化でも確認できます。
- ● 力まずに姿勢を保てるようになった
- ● 呼吸をしながら伸ばせるようになった
- ● 終わった後に身体が軽く感じられた
- ● 翌日に強い痛みや突っかかりが残らなかった
- ● 日常の動きや運動が行いやすくなった
- ● また無理なく身体を動かしたいと思えた
どこまで身体を折りたためたかより、ストレッチ後も身体が自然に動けることを見ていきます。
現在は、柔軟性より身体の動きやすさを確かめています
今の私は、以前のように開脚の角度を広げることや、背中を大きく反らせることを目的にストレッチしていません。
家へ帰り、時間がある時に、下半身を軽く開いたり、無理のない範囲で筋肉を伸ばしたりしています。
柔らかさを競うというより、身体の中に血液が巡り、動きやすさが戻るような感覚で行っています。
今日はどこまで開けるのか、ということよりも、
どの部分が疲れているのか。
どのくらいなら気持ちよく伸ばせるのか。
終わった後に身体が軽く感じられるか。
そのような反応を見ています。
以前は、身体を理想の形へ近づけるために、限界を越えようとしていました。
現在は、今の身体が返してくる感覚に合わせて、伸ばす強さを決めています。

身体を柔らかくするために、身体を傷める必要はありません。
どこまで伸ばせたかより、伸ばした後も身体が楽に動けること。
痛みを我慢するより、呼吸できる範囲で身体の反応を確かめること。
ストレッチも、今の身体に合う強さから行っていきましょう。
ストレッチをすると痛みや違和感が出る方へ
太田市の整体院福粋では、ストレッチや運動をすると身体に痛みや違和感が出る方にも、現在の身体の状態を確認しながら対応しています。
身体が硬いから、さらに強く伸ばせばよいとは限りません。
身体の緊張や関節の動き、疲労の状態を確認し、先に整体で身体をゆるめた方がよいのか、負担の少ない運動を行える状態なのかを一緒に考えます。
その日の状態に応じて、整体、トレーニング、または両方を組み合わせて行います。
