※この記事は、院長自身の約30年間のトレーニング経験をもとに書いています。運動経験、年齢、体調、病気、けがの有無などによって、適切な運動内容や負荷は異なります。痛み、しびれ、強い疲労、関節の違和感などがある場合は無理に運動を続けず、必要に応じて医療機関や運動の専門家へご相談ください。
約30年間トレーニングを続けて感じたこと|休んでも、身体の中に残っていたもの
僕は、約30年間トレーニングと関わってきました。
ただし、30年間ずっと重りを持ち続けてきたわけではありません。
ほとんどトレーニングをしなかった時期もあります。
1年近く、重りをまったく触らなかったこともあったかもしれません。
そのため、
「30年間、休まず筋トレを続けてきました」
と言うのは正確ではありません。
それでも振り返ってみると、筋トレはいつも僕の中に残っていました。
僕の頭の中には、いくつもの記憶や経験が棚のように並んでいるのだと思います。
筋トレは、その中でも比較的取り出しやすい場所に置かれていました。
目の前で筋肉や運動、ダイエットについての話が出ると、以前のトレーニング経験がすぐに浮かびます。
筋トレをしていない時期でも、
「あの時はこうだった」
「この動きは、以前やっていたあの種目に近い」
「この身体の変化は、筋肉の使い方と関係しているかもしれない」
と考えていました。
身体を動かしていない時期にも、頭の中では筋トレの記憶が動き続けていたのだと思います。
続けることは、毎回やる気に満ちていることではありません
長く筋トレを続けている人は、毎回トレーニングが楽しく、強い意欲に満ちているように見えるかもしれません。
しかし、僕の場合はそうではありませんでした。
今日は絶対に鍛えたい。
重りを持ちたくて仕方がない。
そのような日もありました。
一方で、
「今回やっておかないと、前回から間が空きすぎてしまう」
「とりあえず筋肉へ刺激だけ入れておこう」
という感覚で始めた日も、たくさんあります。
やる気が十分に湧いてから始めたわけではありません。
始めてみたら身体が動き、そのままトレーニングできた日もあります。
反対に、始めても身体が重く、短時間で終わらせた日もあります。
長く続けるということは、毎回完璧な気持ちで行うことではないのだと思います。
その日の自分なりに、少し動くこともある。
しっかり鍛えることもある。
何もしないこともある。
それらを含めて、僕と筋トレとの関係が続いてきました。
僕は、試行錯誤することが好きなのだと思います
僕が筋トレを長く続けられた理由の一つには、試行錯誤することが好きだったことがあると思います。
ただ決められた回数をこなすよりも、
「あの筋肉は、この角度で動かした方が使いやすいのではないか」
「この部分をもう少し大きくするには、どこから力を入れればよいのか」
「重さを増やすよりも、動かす範囲を変えた方がよいのではないか」
と考えることが好きでした。
まず自分なりに推測する。
そして、実際にトレーニングして確かめる。
狙った筋肉が動いたか。
パンプしたか。
関節へ負担が逃げていないか。
翌日にどのような反応が残るか。
その結果を見て、また次の方法を考えます。
僕にとって筋トレは、身体を大きくするだけのものではなく、
自分の身体を使った実験
でもあったのだと思います。
筋トレの経験は、クラシックバレエにもつながりました
その後、僕はクラシックバレエを習いました。
筋トレでは、比較的外側にある大きな筋肉を使うことが多くあります。
一方、クラシックバレエでは、身体の内側にある筋肉を使う意識や、形を崩さずに身体を支える感覚を求められました。
先生からは、
「外側の筋肉を使いすぎると脚が太くなるので、インナーマッスルを使ってください」
と教えられていました。
筋トレとバレエでは、身体の使い方が反対に見える部分もあります。
しかし、筋肉を動かしてきた経験があったからこそ、
「今、外側の筋肉へ力が入っている」
「ここを固めずに形を保つには、別の場所を使う必要がある」
と考えることができました。
筋トレの経験が、そのままバレエの正解になったわけではありません。
ただ、筋肉へ意識を向ける土台は、すでに身体の中にあったのだと思います。
整体で筋肉を触る時にも、経験が残っていました
整体の仕事を始めてからも、筋トレの経験は役立ちました。
僕は長い間、自分の筋肉が動く感覚を確かめてきました。
どの動きで胸に力が入るのか。
腕を曲げた時に、どの筋肉が縮むのか。
肩の角度が変わると、どの部分が働きやすいのか。
そのようなことを、自分の身体で繰り返し経験していました。
そのため、整体でお客さんの身体を触り始めた時にも、
筋肉がどこから始まり、どこまで伸びているのか。
どの方向へ走っているのか。
身体を動かすと、どこが硬くなるのか。
ということを、比較的イメージしやすかったと思います。
もちろん、知識として解剖学を学ぶ必要はあります。
ただ、教科書の図だけではなく、自分の身体で筋肉を使ってきた記憶があったことで、筋肉を探すことはそれほど難しく感じませんでした。
筋トレをしていた時には、将来整体で役立つとは考えていませんでした。
クラシックバレエへつながるとも思っていませんでした。
それでも、後から振り返ると、全部がつながっています。
そこが面白いと思います。
筋トレで積み重ねた感覚は、クラシックバレエや整体にもつながっていました。
トレーニングは、その日の身体を知るバロメーターにもなります
同じ種目をしていても、毎回同じようには動けません。
いつもより軽く感じる日があります。
反対に、普段なら簡単に動かせる重量が重く感じる日もあります。
筋肉がすぐにパンプする日もあれば、なかなか張りを感じられない日もあります。
関節が滑らかに動く日もあれば、何となく引っかかる日もあります。
その違いから、
- ● 睡眠が足りているか
- ● 疲労が残っているか
- ● 食事や水分が足りているか
- ● 気持ちが緊張しているか
- ● 身体に違和感がないか
を感じることがあります。
筋トレは、身体を変えるための手段であると同時に、
現在の身体がどのような状態にあるかを教えてくれるもの
でもあります。
体調を数値だけで確認するのではなく、実際に身体を動かしてみることで分かることがあります。
肉体だけのピークと、総合的なピークは同じではありません
僕は、肉体そのもののパフォーマンスのピークは、20歳前後にあるのではないかと考えていました。
そこを過ぎれば、少しずつ衰えていく。
若い頃はそのように思っていました。
実際には、競技によってピークの年齢は異なります。
アスリートを見ていると、30代を過ぎてから最も高いパフォーマンスを見せる人もいます。
若い頃より筋力や回復力の一部が変化していても、
- ● 動きの技術
- ● 力を使うタイミング
- ● 無駄な力を抜く感覚
- ● 試合や練習の経験
- ● 精神的な安定
- ● 自分の身体への理解
が高まることで、総合的な能力は伸び続けることがあります。
肉体の一つの能力だけを取り出したピークと、その人全体として発揮できる能力のピークは、同じ年齢とは限らないのだと思います。
僕自身も、若い頃の方が重い重量を持てた種目はあります。
しかし現在の方が、狙った筋肉へ負荷を届ける感覚や、身体を痛めずに筋肉を使う技術は高くなっていると感じます。
何歳からでも、その時点から筋肉は変わっていきます
年齢を重ねると、
「今から筋トレを始めても遅い」
と思うことがあるかもしれません。
しかし、60歳や70歳から運動を始めても、それまで使われていなかった筋肉は、使われるようになることで変化していく可能性があります。
若い頃の身体と同じになるという意味ではありません。
過去の自分の最高記録を必ず超えられるという意味でもありません。
それでも、
使った筋肉は、その負荷へ適応しようとする
という身体の働きは、年齢を重ねても残っています。
それまで運動をしてこなかった人が、少しずつ筋肉を使うようになる。
以前より立ち上がりやすくなる。
姿勢を保ちやすくなる。
歩く時に身体が安定する。
疲れにくくなる。
見た目にも筋肉がついてくる。
そのような変化が起これば、その年齢で人生の中でも最もよく動ける身体を作れることがあります。
人と比べた最高ではなく、
その人自身の人生の中での身体のピーク
を、60歳や70歳で作ることもできると僕は思っています。
怪我をしないことは、僕の中で絶対的なルールです
長くトレーニングを続けるために、僕が最も大切にしているのは、怪我をしないことです。
重い重量を持つこと。
前回より回数を増やすこと。
筋肉を大きくすること。
それらよりも、身体を壊さないことを優先します。
一度のトレーニングで大きな結果を出しても、関節や筋肉を痛めて長く動けなくなれば、続けることができません。
少し物足りなく感じても、次の日に普通に動ける。
違和感があれば、その種目をやめる。
身体が受け入れられる範囲で終わる。
その方が、結果として長く筋肉へ刺激を入れ続けられます。
若い頃の僕は、筋肉痛や重量を成果として見ていました。
現在は、
今日の身体を壊さずに使えたこと
も、大きな成果だと考えています。
気が向かない時は、やらなくてもよいと思います
筋トレを長く続けるためには、絶対に休んではいけない。
一度やめたら、もう元に戻れない。
そのように考える必要はないと思います。
トレーニングに気が向かない時は、やらなくてもよい。
そのまま数日休んでもよい。
数カ月、数年やらなくなることがあってもよい。
そして、また筋トレをしたくなったら、その時に始めればよい。
以前できていたことができなくなっていても、そこから身体を調べ直せばよいと思います。
僕自身、振り返れば、筋トレをしていた時期と、ほとんどしていなかった時期があります。
それでも、再び始めるたびに、以前の経験が完全に消えていたわけではありませんでした。
動き方を身体が思い出す。
昔とは違う方法を試せる。
以前の失敗を避けられる。
休んだ期間も含めて、新しいトレーニングにつながっていきました。
続けるとは、離れないことだけではありません
約30年間を振り返ると、僕は筋トレを一直線に続けてきたわけではありません。
熱心に取り組んだ時期があります。
義務のように行っていた時期があります。
まったくやらなかった時期もあります。
そして、また戻ってきた時期があります。
それでも筋トレは、自分の身体を考える時の基準として残り続けました。
クラシックバレエにもつながりました。
整体にもつながりました。
現在のパーソナルトレーニングの考え方にもつながっています。
続けるとは、一日も休まないことだけではないのだと思います。
一度離れても、必要になった時に戻れること。
過去の経験が、別の場所で生きること。
その時の身体に合う形へ変えながら、関係が続いていくこと。
僕にとっての約30年間のトレーニングは、そのようなものだったのだと思います。
筋トレをしなくなった時期があっても、それまでの経験がなくなるわけではありません。
また身体を動かしたいと思った時に、そこから始めればよい。
そして何歳であっても、その時の身体に合う負荷を重ねることで、
今の自分にとっての新しい身体のピーク
を作っていくことはできると思います。
※トレーニングについて
この記事は、院長自身の約30年間のトレーニング経験をもとに書いています。運動経験、年齢、体調、病気、けがの有無などによって、適切な運動内容や負荷は異なります。痛み、しびれ、強い疲労、関節の違和感などがある場合は無理に運動を続けず、必要に応じて医療機関や運動の専門家へご相談ください。
福粋のパーソナルトレーニングでは、過去の記録や決められた運動法だけに身体を合わせるのではなく、現在の年齢や体調、身体から返ってくる反応を確認しながら進めていきます。
