硬い筋肉を柔らかくして体を整える

硬い筋肉を柔らかくして体を整える考えと方法をお伝えします。

 

これからお伝えすることを参考に過去最高の柔らかい筋肉になって整った体を目指していただけたらと思います。

硬い筋肉とは

生まれたばかりの赤ちゃんの筋肉はとても柔らかいです。

歳を重ねていくごとに少しずつ筋肉は硬くなっていきますが、これは自然に硬くなる流れです。

自然な流れで筋肉が硬くなっていくのなら、回復能力が遅れて来るだけで痛みや不調に悩まされることはありません。

 

ただ、歳を重ねていく間に怪我をした場合はその時の筋肉の硬さが残る場合があります。

 

そして、不自然に心や体に負担が掛かっていると、関係した部分の筋肉が硬くなっていきます。

病気をしている人も筋肉が硬いままになっています。

縮まっている筋肉

硬い筋肉とは、筋線維(筋細胞)が常に縮まっている状態の筋肉を指します。

筋肉は通常は筋線維が縮まったり弛んだりしています。

 

しかし不自然な心の状態や不自然な体の状態が続くと、筋肉は弛むことができずに縮まりっぱなしの硬い筋肉になっていきます。

若年の人だったとしても不自然な心身状態を続けることで、負担の掛かっている部分は「骨と同じ位の硬さの筋肉」になる可能性があります。

 

筋肉が硬くなってしまうと筋肉本来の働きができなくなってしまいます。

関節が動きづらくなるだけでなく、回復能力が大幅に落ちたり生命力に繋がる力が低下することを意味します。

上記のような状況に年月を掛けて陥ることがある為、「歳を重ねると痛みが出て当たり前」と勘違いしまうことがあります。

 

自然に筋肉が硬くなるのなら不調は起こらないのです。

なぜ筋肉が縮まり続けるのか?

分かり易いように項目に分けて筋肉が縮まり続ける理由を解説していきます。

関節は縮まる筋肉で動いている

関節と筋肉の関係を腕で説明します。

腕の力こぶと呼ばれている筋肉は、上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)です。

腕を曲げていきグッと力を入れると硬くなる筋肉です。

骨を挟んで反対に位置するのが上腕三頭筋です。

 

肘を曲げる時は、上腕二頭筋が縮まって肘が曲がります。

肘を伸ばす時は、上腕三頭筋が縮まって肘が伸びます。

 

このような一つの関節を動かす時に逆の働きをする筋肉を拮抗筋と呼びます。

上腕二頭筋と上腕三頭筋は拮抗筋の関係にあります。

 

関節の動きは筋肉が伸びて関節が動かされているわけではありません。

全ての関節は筋肉の縮まる力で動かされています。

 

そして筋肉が縮まる時、筋線維が収縮しているのです。

伸縮するメカニズム

筋肉が伸縮するメカニズムを上腕二頭筋で説明します。

筋線維

上腕二頭筋を顕微鏡で拡大して見ていきます。

上腕二頭筋も他の筋肉も無数の筋線維束で出来ています。

 

骨格筋の周り、骨格筋の中、骨や臓器の間などに柔らかい衣のような繊維状の筋膜(コラーゲン)がそれぞれの器官を束ねるように包んでいます。

 

筋線維束は無数の筋線維で出来ています。

筋線維1本の太さは髪の毛1本と同じ位の太さです。

筋線維は無数の筋原線維で出来ています。

 

このような形で筋肉は纏まった束で連続して構成されています。

 

筋原線維

筋原線維の周りにはぐるりと網目状に筋小胞体が取り巻いています。

 

筋原線維の中は太いフィラメント(太い線のようなもの)と細いフィラメント(細い線のようなもの)がびっしりとあります。

(上の絵のフィラメントはわかりやすいように線で表しています。)

太いフィラメントはミオシンフィラメント、細いフィラメントはアクチンフィラメントと呼ばれ、小さな世界で分子レベルの話になります。

伸縮とフィラメント

筋肉が伸縮する時は、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントがスライドするように動きます。

なので、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントが動かなければ筋肉は動きません。

フィラメントを動かしているもの

ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントを動かしているものはカルシウム(カルシウムイオンとして体液に溶けている)です。

 

なのでフィラメントにカルシウムの有る無いが、筋線維が縮まるか伸びるかを決めています。

 

収縮(縮まる)時

脳からの微小電気信号が神経から筋肉に伝わり、フィラメントの周りにある網目状の袋になってフィラメントを囲っているカルシウム貯蔵庫の筋小胞体から(浸透圧によって濃度の高い方から低い方へ物質が移動する現象により)フィラメントに向かってカルシウムが放出されます。

 

カルシウムを受けているアクチンフィラメントとミオシンフィラメントはお互いがスライドするように動き、筋肉が収縮します。

 

弛緩(伸びる)時

フィラメントに付いていたカルシウムは、筋小胞体にカルシウムポンプを使って戻るのですが、筋小胞体とフィラメントとのカルシウム濃度の差が大きく戻れないので、ATPというエネルギーを使うことで戻っていきます。

 

カルシウムの抜けたアクチンフィラメントとミオシンフィラメントはスライドするように動き、筋肉が弛緩します。

筋肉と骨格の歪み

筋肉の伸縮するメカニズムを知った上で体を見ると新鮮に感じるかもしれません。

 

筋肉は骨と骨を繋いでいます。

筋肉の伸縮の動きによって骨が動き、人は動くことが出来ます。

縮まっているから歪む

負担が重なって(疲労して)縮まっていて伸びない筋肉になると、関節のすき間が狭くなり、骨と骨の距離が近づいたままになります。

 

この状態では関節が動く時に本来は抵抗無く伸びていくべき筋肉が「縮まり続けながら無理に伸ばされる」ことになります。

言葉で説明すると縮まり続ける筋肉が骨格の歪みの元です。

背骨の歪み、骨盤の歪み、膝の捻じれから来る痛みなど全て筋肉が起こしています。

 

筋肉が縮まったままだったり、縮まり続けていると発生してくる不具合の前段階のようなものが骨格の歪みです。

 

筋肉を柔らかくすることで本来の骨格になるのです。

筋肉が伸びなくなる

硬い筋肉になる要因として、筋原線維のフィラメントからカルシウムを移動させるエネルギーであるATPが枯渇することがあります。

 

ATPが枯渇すると、フィラメントにカルシウムが留まるので筋肉は伸びなくなります。

 

カルシウムを移動させるエネルギーであるATPが留まることなく産生されてフィラメントに届いていれば、筋肉の伸縮や働きは止まることはないのです。

 

(上の絵は移動しているカルシウムを表しています。)

カルシウムが筋原線維のフィラメントと筋小胞体の間を行き来し続けていることがベストな健康状態です。

 

エネルギーであるATPの枯渇は問題なのでメカニズムを詳しく書きます。

エネルギーの枯渇

毛細血管から運ばれた酸素が筋線維に供給されることで、筋線維中のミトコンドリアが酸素を受けます。

筋線維の中では、少量のATPは酸素が無くても糖で作り出せるのですが、酸素があればミトコンドリアは効率的に数多くATPを作り出せるのです。

しかし、心や体に負担(疲労)を掛け続けることで、筋線維内で疲労物質や老廃物が発生していき、老廃物の分解と排出が追い付かなくなっていきATPの産生に影響することがあります。

 

酸欠になる

筋線維内では疲労物質や老廃物が過剰に増えて酸素が運ばれづらくなり酸欠になっていきます。

 

酸欠状態では、ATPの産生が低下してカルシウムを筋小胞体に戻す働きも低下していきます。

筋線維が縮まっている

この状態では筋線維内は酸性に傾いていき、フィラメントにカルシウムが留まっていくので筋肉が縮まるスイッチがオンになりっぱなしになっています。

 

人が活動するということは「筋肉を縮めている」ということなので、筋肉が縮まるスイッチをオンにしながら筋肉の伸縮を繰り返すことになります。

 

このように体に負担を増やしていると、フィラメントにカルシウムが送られ続けてカルシウムがフィラメントに溜まっていき、筋肉の収縮が強化されていきます。

 

筋肉は伸びない(弛緩できない)状態になって伸縮活動を続けてしまっているので、筋線維は老廃物を生み出し続けて更に筋線維内外の入れ替え効率が悪化して筋肉が収縮して硬くなっていきます。

 

このようにエネルギーの枯渇から酸欠になって筋肉が伸びなくなるのです。

筋肉を柔らかくする方法

筋肉を柔らかくしたり保つには、筋原線維のフィラメントにカルシウムを溜めないことが重要になります。

 

このようなことを踏まえて方法を探すと、まず筋肉にダメージを与えないことが第一になります。

筋肉を壊す施術はNG

マッサージなどでゴリゴリと強く施術したり、揉み返しになるような施術は筋肉が硬くなります。

 

筋原線維の周りを筋小胞体がぐるっと包んでいる形なので、筋肉を叩いたり強く押したりすることで、筋小胞体が破れて溜まっているカルシウムが散乱したりフィラメントからカルシウムを戻すカルシウムポンプが機能しなくなります。
筋肉の伸縮に直接関わるフィラメント自体もダメージを受けるかもしれません。

 

それらが治るまで筋肉にカルシウムが溜まりっぱなしになる可能性があるので筋肉に強い刺激を与えるのは良くないのです。

 

負担や疲労よりも外部からの圧力の方が筋肉に簡単にダメージを与えられます。

 

手や器具で筋肉を柔らかくしたいのであれば、ソフト(撫でるくらい)に施術することをお勧めします。

体操とストレッチ

カルシウムをフィラメントに溜めないことが重要なので、力を入れない体操やストレッチがお勧めです。

筋肉が硬くなっていない人であれば筋トレもお勧めです。

 

体操やストレッチでは基本的には体の中心部の筋肉が弛んで柔らかくなるように意図しながら行うといいです。

 

体の中心と言っても感覚が掴みづらいので、上半身は肩甲骨周りの筋肉が柔らかくなるように、下半身は骨盤周りの筋肉が柔らかくなるように体操やストレッチを行うといいです。

 

以下に運動が苦手な人や何をしたらいいのか分からない人の為にお勧めの体操を紹介します。

上半身の体操で柔らかく

手首を柔らかく

まず手首をくるくると内側に大きくまわしていきます。

(立っていても座っていてもOKです。)

10~20回まわしたら次にいきます。

 

外側に大きくまわしていきます。

10~20回まわしたら次にいきます。

 

肘を柔らかく

肘を中心に前腕をくるくると内側に大きくまわしていきます。

10~20回まわしたら次にいきます。

 

外側に大きくまわしていきます。

10~20回まわしたら次にいきます。

 

肩を柔らかく

肩を中心に腕全部をくるくると内側に大きくまわしていきます。

10~20回まわしたら次にいきます。

 

外側に大きくまわしていきます。

10~20回まわしたら次にいきます。

 

バンザイで伸ばす

片方の腕をバンザイ、片方の腕は下方向へ伸ばします。

できるだけ大きく動かします。

10~20回左右交互に行ったら次にいきます。

 

腕を前後に伸ばす

片方の腕を前に伸ばして、片方の腕を後に伸ばします。

ウエストが捻じれる位、できるだけ大きく動かします。

10~20回左右交互に行います。

 

上記の流れをセットで1日1~2回(行いやすい時間帯に)行います。

 

 

下半身の体操で柔らかく

足首を柔らかく

まず足首をくるくると内側に大きくまわしていきます。

(床の上に膝を立てて、カカトを床に着けて行います。)

10~20回まわしたら次にいきます。

 

外側に大きくまわしていきます。

10~20回まわしたら次にいきます。

 

膝倒し

膝を立てたまま足裏とお尻は床に着けて、膝をある程度揃えて左右に倒していきます。

10~20回左右交互に行ったら次にいきます。

 

膝抱え

仰向けになって、片方の膝を両手で軽く抱えます。

20~30秒抱え続けたら、もう片方の膝も同じように抱えて、左右交互に2~3回繰り返します。

 

上記の流れをセットで1日1~2回(行いやすい時間帯に)行います。

 

 

股関節に不調が無い人には追加でスクワットをお勧めします。

(股関節に不調がある人は行わないでください。)

スクワット

足を肩幅に開き、真っすぐに立った状態で両腕を前に伸ばしておきます。

お尻を後に少しずつ引いていき、スネは床に垂直のまま膝が前に出ないようにします。

(膝が前に出なければ、膝前のベッドの端と膝との距離は、どの写真の区間でも同じ距離になります。)

お尻は下後方に引いていき、顔は前を向いたまま腕も前に伸ばします。

お尻が膝の高さくらいまで来たら、腰から背中が真っすぐ伸びているのを感じながらゆっくり立った状態に戻っていきます。

4秒で腰が下がり切って4秒で立った状態に戻るのを10回繰り返します。

秒数は目安としてできるだけ気持ちよくできるようにします。

 

上記のスクワットを1日1~2回(行いやすい時間帯に)行います。

 

スクワットを筋トレとして行ってしまうと「トレーニング=筋疲労」に繋がってしまうので、トレーニングとしては行いません。

 

スクワットの動作中は腰や脚の筋肉がピンと張りつつも股関節や膝関節が動いていく感覚で行うことで、骨盤周辺の筋線維のフィラメントにカルシウムが溜まりづらくなると思います。

 

 

上半身と下半身の体操を一緒に行っても大丈夫です。

 

上記の体操のポイントは行っている間は、筋肉を疲労させないことです。

そして、体操をしながら他の事を考えるのではなく、体の動きに集中してください。

 

体に集中して力を抜いて行うことを意識してみてください。

 

体操で疲れてしまうと、上で説明した筋肉が縮まるプロセスが起こってしまうので、楽に行うことを意識してみてください。

柔らかい筋肉になる近道

柔らかい筋肉になれば体は整います。

しかし、「進む道は合っているのか、間違っているのか?」と自分の行ったことの結果が出るまでに時間が掛かり過ぎて迷ってしまう人もいるかもしれません。

 

そのような人々に柔らかい筋肉になって整った体になる為に当院の整体をお勧めしています。

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