
静けさの中で “家族の心配” を抱えながら 〜AMさんのお話〜
今日は、ご家族の心配を抱えながらも「自分の体を整えに」来てくださった方の物語です。
同じように、家族のことで胸がいっぱいになりながら日々を過ごしている方の、ひとつの参考になればと思いながら書いています。
「腰が前かがみになってしまうんです」
この日、14時にAMさんが来院されました。
施術は今回で5回目。施術時間はおよそ50分強、僕の自己評価は☆4でした。
AMさんは、
「最近、腰が前かがみになってしまって…」
と、ゆっくり話されました。
お体を拝見すると、背骨は長年の負担で少しずつ前に丸まりやすい状態。
ですが、それでもなお、今できる範囲で「起き上がろう」とする力が体のあちこちから伝わってきます。
特に気になったのは、左肩の筋力の弱さでした。
左肩がもう少ししっかりしてくると、上半身が起き上がりやすくなり、腰への負担も少し変わってきます。
そんなイメージを持ちながら、肩や腕、背中を丁寧に整えていきました。
「膝をやってから、体がおかしくなった気がして…」
以前、AMさんは、 「左膝を他の所で施術してから、私の体はおかしくなったような気がする」とお話しされていたことがあります。
お話をうかがっていると、
それは「どこかに不安の行き先を置いておきたい」
そんなお気持ちの表れのようにも感じました。
体というのは不思議なもので、
長年のクセや使い方、生活の状況がいくつも重なり合って、今の状態が形づくられています。
ひとつのきっかけだけで「全部おかしくなった」というよりも、
「もともと頑張り続けてきた体が、そろそろ助けを求めている」ことのサインであることがほとんどです。
AMさんの腰の痛みは、まだ残っています。
だからこそ、「痛みがあるのは正常ではない」と感じて整体を続けてくださっているのだと思います。
その感覚は、とても大切な“自分の体への感性”です。
ご家族への心配と、第4チャクラの「緑」
施術中、AMさんはご家族のお話もしてくださいました。
つい最近、旦那さんの左の首にある甲状腺のがんが見つかったこと。
1年前の検査では見つからず、今回の検査でようやく見つかったこと。
これから何度か病院に通いながら治療方針が決まっていくこと。
そしてもう一つ。
「息子が電話しても出ないので、明日アパートに様子を見に行くんです。」
と息子さんのことも心配されていました。
ご主人と息子さん。
大切な二人のことを同時に心配しながら、それでも自分の体を整えに来てくださっている。
そう思うと、その胸の内はどれほど重く、忙しいだろうかと感じます。
エネルギーの観察として、第4チャクラ(胸のあたり)を意識すると、
そこには「緑色の六芒星」のような形が見えました。
それは、
自分の中心を保ちながらも、周りの人たちへ愛と気遣いを向け続けている人の胸に現れやすいイメージです。
優しさゆえに、胸のあたりが少し疲れてしまっているようにも感じました。
言えなかった気持ちと、過去の記憶
そこで、第1〜第4チャクラに順番に光を集めたあと、
「もしかしたら、言いたかったことが心の奥に残っているかもしれない」と感じ、第5チャクラ(喉)に青い光を意図しました。
AMさんは、旦那さんのお父さんのことを話してくれました。
とても厳しい人で、奥さん(義理のお母さん)をいじめていたこと。
義母は別の家で暮らすようになり、
AMさんはそのお父さんと同じ家で暮らしていたこと。
それはきっと、簡単には言葉にならなかった記憶であり、
長いあいだ胸の奥にしまわれていたものかもしれません。
過去の出来事の意味づけをやわらかくしていく意図で、
第6チャクラ(眉間のあたり)に藍色の光をそっと集めました。
「あの頃の自分は、精一杯だった」「よく頑張ってきたね」
そんなメッセージが届くようなイメージです。
腕に力が入り続ける “年配の方の特徴”
手技としては、左肩の筋力が少しでもしっかりしてくるように、肩と腕を丁寧に施術しました。
その中で印象的だったのは、
僕がAMさんの腕を持ち上げて施術しているとき、
AMさんご本人の力が、腕からなかなか抜けないことでした。
年配の方にはよく見られる特徴の一つなのですが、
これは「僕に対して緊張している」というよりも、
長年の“頑張り方”がそのまま腕に残っている
そんな印象を受けました。
「力を抜いてくださいね」と何度も言うのではなく、
僕の方でそっと支え方や触れ方を変えながら、
体が自然にゆるんでいくタイミングを待つ。
そんな時間になりました。
施術が終わったあとは、AMさんのお顔はすこし柔らかくなり、
こちらとしても「いい方向に向かっているな」と感じられる時間でした。
安心させようとして、少し力が入った僕
施術の最後に、僕はこういったお話もしました。
- 旦那さんのがんは、1年前には見つからず、今の段階で小さいうちに見つかったこと
- 息子さんは、肩から下は比較的しっかりしているので、首がよくなってくればさらに動きやすくなりそうなこと
それは、AMさんの心の中に「少しでも安心材料を届けたい」
そんな気持ちからの言葉でした。
けれど、AMさんが帰られたあとで振り返ると、
僕の中で「安心させようとする気持ち」が波のように何度も押していたことに気付きました。
もしかすると、
「大丈夫ですよ」「ここも大丈夫です」「こっちも大丈夫です」と
何度も伝えようとしたことで、
かえってAMさんの心には、
「今の自分は心配な要素がたくさんある」という印象が少し残ってしまったかもしれません。
助けたい気持ちは大切だけれど、力みになる手前で止めること。
これは、僕自身が今学んでいる大切なテーマの一つだと感じました。
院長より “同じように家族を心配しているあなたへ”
家族のことを心配しながら、自分の体のことも気になる。
そんなとき、「自分のことは後回しでいい」と思ってしまいがちです。
でも、
あなたの体が少し楽になると、その分だけ、家族のことを見守る心にも余白が生まれます。
AMさんのように、 ご主人やお子さんへの心配を胸に抱えながらも、
「自分の体を整えに行こう」と決めて福粋に来てくださること。
それは、決してわがままではなく、とても静かな勇気だと思います。
整体院 福粋では、
体だけでなく、その人の背景にある“日々の心配事”も大切な一部として受けとめながら、
静かな回復のお手伝いができればと考えています。
もし今、
「家族のことが心配で、自分のことはつい後回しにしてしまう」
そんな日々が続いているようでしたら、
一度、体を整える時間を持ってみませんか。
静けさの中で、
あなた自身の体と心が、少しずつ息をし直していく。
そのお手伝いができたら嬉しく思います。
整体院 福粋 院長 坂本安楽
AMさんの前回施術の様子:心の奥の泉が、そっと動きはじめるとき
